風流美活用法 こんな工夫どうですか?

古材使い

古民家再生だけでなく、新築にもなるべく古材を用いるようにしています。その場合には「梁や柱といったメインの構造材は古材のセットで、ほかは新材で」という組み合わせかたをするのが、構造強度的にも意匠的にもうまくいくように思います。さて、組み合わせで用いる時に、古材は年輪を重ねた貫禄で見せるとして、新材はどう見せたらよいだろうか?というところが、悩むところですし、肝腎なところです。昨今では新しいものでも古く見せてしまう「エージング」という手法が用いられます。「花子とアン」の撮影現場でも、つい昨日つくったセットが、どうみても昔の建物にしか見えないというように見事にお化粧されていました。伝匠舎では、「エージング」を行うか行わないかは、施主様の意見を尊重しながら現場ごとに決めています。全体を古色で統一して古民家として完結させるか、あるいは新材は新材のまま古材との対比を明確にすることで古材の使用を強調して見せるかは、その建物をとりまく環境によって変わるので、「必ずこうするのが正解」というものはありません。その建物が、この先、愛されながら長く時を重ねられることを願って、判断するようにしています。

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新築の家に、古材の大黒柱と梁を取り入れた例。圧倒的な存在感で、住む人の心に安心感と愛着を生み出します。

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古材と新材とを、同じように扱って改修した笛吹川芸術文庫。全体が落ち着いた雰囲気になります。


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